偏愛記

好きな人や物が多すぎて、見放されてしまわないために綴る愛。好きな歌とか、読んだ本とか、推しとか。

恋と恋愛の脱構築

 

Twitterのフォロワーがめちゃ増えたので、マシュマロを久しぶりに募集してみたところ、こんなマシュマロをいただきました。すごくわかる!と思いながら読ませてもらいました。ゆっくり解答していきたいと思います。

 

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最近、自分は人に恋愛感情をあまり抱かないということに気付き、そういう自分もある程度認めることが出来るようになり、以前よりは気持ちも安定してきたと感じていたのですが、ふとした瞬間に、自分の友達や知り合いの殆どに恋人がいたり、恋愛をしていたりするように見えて(実際は「殆ど」ではないと思うのですが)、やっぱり寂しいなあと思ってしまうことが時々あります。(実は数年ぶりにやっと恋愛的に好きになることが出来た人に最近振られてしまい、それで寂しいと余計に思ってしまうというのもあります😭) 恋愛を(あまり)しない、という自分を大事にしようと思いつつもなんだかんだで恋愛に憧れたり、「恋愛はしたほうが良い、するのが普通」というような考えに引っ張られてしまう自分がいて、矛盾を感じる日々です。このような矛盾を無くすにはどうすれば良いでしょうか。もう少し時間をかけて自分について考えるべきでしょうか・・・。

 

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わたしも好きなひとがなかなかできない&できてもなかなか両想いになれない星のもとに生まれてしまった人間なので、わかるなあ…と思いながら読んでしまいました。わたしも、好きじゃないひとと恋愛するのは腑に落ちないけれど、でもこのままひとりでいいのかな、と立ち止まっては悶々と悩む日々を送っています。

 

でも最近おもうのは、恋愛をする能力と、恋をする能力は別なんじゃないかということです。世間では、恋の延長が恋愛で、恋するひと同士が恋人同士になっているという印象があるけれど、でも恋愛関係のはじまりって、恋に限らないと思うんです。情の場合もあれば、友情の場合もあれば、穏やかな愛情もあれば、性欲の場合もあるよなあと、周りを見ていて考えます。社会規範的にした方がいいことになっているのはたしかに恋愛ですけど、恋は別にそこに必須な要素じゃないんですよね。マロ主さんが憧れているのは「恋の発展形としての恋愛」で、必ずしも「恋愛」を指しているわけではないんじゃないでしょうか(違ったらごめんなさい)。そこをしっかり区別することで、「恋愛」への憧れと自分の感覚の矛盾は、少し整理されるような気がしています。

 

わたしは恋という感情の過激な信者なので、正直、恋スタートではない恋愛関係についてはあまり良い感情を持っておらず(笑)、だからこそ自分が恋愛をするのが果てしなく難しいことのように感じるのではないかと思っています。

し、恋愛関係に必ずしも恋が付随するものではないとするならば、恋ができるのはある種の才能ということで、それがしかもうまくいかないものでも相手に惚れることができるというのは、稀有な才能だと思います。誰かを想うことができるってすごいことです。その一瞬の自分の想いに自分自身が照らされて生きていける瞬間があるから。

社会規範的な「恋愛」は苦手かもしれないけれど、その分他のひとがしていないことをわたしはしているんだ!と思えば少しは楽になる…かもしれないと思うのですが、いかがでしょうか。

 

でもやっぱりそれでも、この社会の基本が男女ペアの「恋愛(※必ずしも恋ではない)」の発展形の「結婚」であるからには生きていく上での不安は付き纏うし、たとえそういう「結婚」をしなくても、パートナーがいた方が生きるには心強いよなあと悩むこともあると思います。生々しい話をすると、私は最近自分があまり金を稼ぐ能力がなさそうなことに気づき、生存戦略として結婚が必要なのでは…?という疑念が芽生えはじめたところです。恋過激派としてはやはり結婚も恋をした相手としたいので、なかなか難しいところです。

 

恋愛感情を持たない相手と「結婚」ではない形で同士として手を組んで生きていけたらいいけれど、そうやって生きるにはロールモデルがいなさすぎるんですよね。目の前に存在しないものを、自分たちで一から組み立てるのってすごく難しい。もしかしたらこの世界にはそういう二人組/共同体がすでにひっそりと存在しているかもしれないけれど、目立つところにはあまりいないように思います。だからやっぱりそのことにはこれからも悩みつづけるだろうし、ここで明確にこう生きれば良いと思う!みたいな答えを出すこともできません。でも私はそういうときこそ、物語の力を借りればいいんじゃないかと思っています。というわけで、相談者さんにおすすめの物語は、

 

・今夜すきやきだよ(ドラマ)

アロマンティックの女性と恋愛体質の女性が同居生活を送る話です。恋愛と同性間の強い絆をどう両立させるか、ヒントをくれるお話です。

・一心同体だった

こちらは割と現実を見せつけてくる系ではあるのですが、恋愛感情を媒介しない女たちが仲良く生きてゆく難しさが描かれた短編集です。

・白いしるし

恋過激派のわたしが大絶賛する、これぞ恋!という感情が閉じ込められた小説です。失恋の傷は簡単には癒えないと思いますが、この本があれば大丈夫です。